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Quantum cognitionについて [読書記録・日記]

先日内々の研究会でBusemeyerらがずっと進めている“Quantum cognition”のレビュー論文(Bruza, Peter D., Zheng Wang, and Jerome R. Busemeyer. "Quantum cognition: a new theoretical approach to psychology." Trends in cognitive sciences 19.7 (2015): 383-393.)について話した。
資料はすごくわかりにくいのしか作らなかったので、もし改善したらslideshareなどにあげるかもしれない。

Quantum cognition、日本では行動経済学や科学哲学方面でQuantum decision makingの訳で量子意思決定としては議論されているようだけれど、認知科学会界隈では見かけない。Quantum cognitionの訳も多分ないと思う。Quantum cognitionなので、そのまま訳すと量子認知。本質的に物理的な“量子”関係ないので、非可換確率論を用いた認知の方が良いと思うけれど、言いやすさは量子認知なので、量子認知でも良い気はする。

上のレビュー論文は、ある程度わかりやすいけれど、例がかなりわかりにくい(友達と旅行の例はなぜこの例にしたのか?!と思った。無理に三次元にするために謎の選択肢増えてるし)。
あと他のモデルとの実証的な比較の内容が、レビューだから仕方ないとはいえ、あまり具体的に書かれていないのがもったいない。レビュー中、比較的よく触れられていた文献37は読んでみた。順序効果の各実験での具体的な大きさに触れずとも、非可換ならではの関係性から順序効果の大きさの比について予測をしていて、面白かった。私は順序効果は詳しくないので、古典的な他のモデルで、本当にこの予測がないのかわからないけれど。
他に具体的な研究を読んだら面白そう。

私は別にQuantum cognititonがやりたいわけではないのだけれど(圏論がやりたいわけではないように)、文章理解で、複数の解釈がありうるときに、それらの解釈の重ね合わせとして別の理解が創造されているように感じるので、Quantumの方が自然かなと思う。
もともと、Busemeyerらの研究は知らない2018年頃、解釈学的循環の研究を進めているときにそう思い、共同研究者にそれを言ったらBusemeyerらを教えてもらった。が、放置していた。
似たことを考える人はたくさんいそうだと思ったけれども、文章理解界隈で量子力学を一滴でもかじったことがある人は少ない気もして、そうすると、もしかしたら思っている人は少ないのかもしれない。
彼らの本も買ってみたので、少し勉強してみよう。



Quantum Models of Cognition and Decision

Quantum Models of Cognition and Decision

  • 作者: Busemeyer, Jerome R.
  • 出版社/メーカー: Cambridge University Press
  • 発売日: 2014/06/19
  • メディア: ペーパーバック



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