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JAISTサマースクール2020「計算論的認知科学入門〜認知科学者のための圏論入門』 [読書記録・日記]

JAISTの日髙研究室が今年もJAISTサマースクールを秋(11/21-22)にオンラインで行います。
「認知科学者のための圏論入門」ということで、私も講師として参加予定です(自然変換あたりを教える予定で、米田の補題をやるか検討中)。
11/21が入門編でかなり基礎から圏論をやる日、11/22が講演になっています。
日毎に定員数が異なりますが、ご興味のある方はお申し込みいただければ嬉しいです。

JAISTサマースクール2020「計算論的認知科学入門〜認知科学者のための圏論入門』

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不定自然変換理論の論文をオープンアクセスにしました [読書記録・日記]

7月に出版した不定自然変換理論の以下の論文をオープンアクセスにしました。
ご興味ある方に広く読んでいただければ嬉しいです。

Fuyama, M., Saigo, H., &Takahashi, T. (2020). A Category Theoretic Approach to Metaphor Comprehension: Theory of Indeterminate Natural Transformation., BioSystems, 104213.


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Quantum cognitionについて [読書記録・日記]

先日内々の研究会でBusemeyerらがずっと進めている“Quantum cognition”のレビュー論文(Bruza, Peter D., Zheng Wang, and Jerome R. Busemeyer. "Quantum cognition: a new theoretical approach to psychology." Trends in cognitive sciences 19.7 (2015): 383-393.)について話した。
資料はすごくわかりにくいのしか作らなかったので、もし改善したらslideshareなどにあげるかもしれない。

Quantum cognition、日本では行動経済学や科学哲学方面でQuantum decision makingの訳で量子意思決定としては議論されているようだけれど、認知科学会界隈では見かけない。Quantum cognitionの訳も多分ないと思う。Quantum cognitionなので、そのまま訳すと量子認知。本質的に物理的な“量子”関係ないので、非可換確率論を用いた認知の方が良いと思うけれど、言いやすさは量子認知なので、量子認知でも良い気はする。

上のレビュー論文は、ある程度わかりやすいけれど、例がかなりわかりにくい(友達と旅行の例はなぜこの例にしたのか?!と思った。無理に三次元にするために謎の選択肢増えてるし)。
あと他のモデルとの実証的な比較の内容が、レビューだから仕方ないとはいえ、あまり具体的に書かれていないのがもったいない。レビュー中、比較的よく触れられていた文献37は読んでみた。順序効果の各実験での具体的な大きさに触れずとも、非可換ならではの関係性から順序効果の大きさの比について予測をしていて、面白かった。私は順序効果は詳しくないので、古典的な他のモデルで、本当にこの予測がないのかわからないけれど。
他に具体的な研究を読んだら面白そう。

私は別にQuantum cognititonがやりたいわけではないのだけれど(圏論がやりたいわけではないように)、文章理解で、複数の解釈がありうるときに、それらの解釈の重ね合わせとして別の理解が創造されているように感じるので、Quantumの方が自然かなと思う。
もともと、Busemeyerらの研究は知らない2018年頃、解釈学的循環の研究を進めているときにそう思い、共同研究者にそれを言ったらBusemeyerらを教えてもらった。が、放置していた。
似たことを考える人はたくさんいそうだと思ったけれども、文章理解界隈で量子力学を一滴でもかじったことがある人は少ない気もして、そうすると、もしかしたら思っている人は少ないのかもしれない。
彼らの本も買ってみたので、少し勉強してみよう。



Quantum Models of Cognition and Decision

Quantum Models of Cognition and Decision

  • 作者: Busemeyer, Jerome R.
  • 出版社/メーカー: Cambridge University Press
  • 発売日: 2014/06/19
  • メディア: ペーパーバック



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川上弘美『あるようなないような』から「嫌」 [読書記録・日記]

川上弘美の『あるようなないような』を少しずつ読んでいる。日記的なエッセイということになっているけれど、日記とは思われないようなことが入っていたり、エッセイだから軽く読めるかなと思いきや軽く読めない。

その中の「嫌」というエッセイに、自分が何かに似ている、と言われる話がある。また、「あなたが昨日XXにいたよ」といなかったはずの場所に言われる話。

---(引用)---
 ところで、うすぼんやりとした背景の中で、わたしにとっての自分自身というものは実際にはどのくらいの実在感を持ち得るのか。渋谷にいたらしい「わたし」も浜松にいたらしい「わたし」も蛇に似ているらしい「わたし」も、考えているうちに実際のわたしらしく思われてくる。他人の視界の中の軽軽とした「わたし」と、自身の思う重重としたほんとうのわたしは、境界をなくしそうになる。それはたいそう不吉なことだ。軽軽とした「わたし」それ自体は不吉ではないのに、「わたし」があるはずないとわかったその瞬間から軽軽とした「わたし」は不吉な影として重重としたわたしを覆いに来るのである。
 嫌だ。じつに嫌なことだ。(後略)
---(pp.51-52)----

いろいろなところに現れる「わたし」の話は、田口先生の『現象学という思考』や西郷・田口『〈現実〉とは何か』の話に少しつながって面白い。


あるようなないような (中公文庫)

あるようなないような (中公文庫)

  • 作者: 川上 弘美
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2002/10/01
  • メディア: 文庫




現象学という思考: 〈自明なもの〉の知へ (筑摩選書)

現象学という思考: 〈自明なもの〉の知へ (筑摩選書)

  • 作者: 田口 茂
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2014/12/11
  • メディア: 単行本




〈現実〉とは何か (筑摩選書)

〈現実〉とは何か (筑摩選書)

  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2019/12/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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