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『オーウェルの薔薇』 [読書記録・日記]

年末でばたばたしつつ、なんとか締切系が終わってきた。
ソルニットの新しい本『オーウェルの薔薇』を少しだけ読んだ。

『オーウェルの薔薇』より
「オーウェルの薔薇が問いかけるのはこうだー彼は何者なのか、私たちは何者なのか、そして、正義と真実と人権を尊び、世界をいかに変えるかについて思いを馳せている人--もしかしたらすべての人--の生のどこに、計量可能な実績にはなりえない喜びと美と時間が収まるのか、という問いである。(p.18)」
「They were questions about who he was and who we were and where pleasure and beauty and hours with no quantifiable practical result fit into the life of someone, perhaps of anyone, who also cared about justice and truth and human rights and how to change the world.(英語版のkindleより)」


オーウェルの薔薇

オーウェルの薔薇

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2022/11/15
  • メディア: 単行本



Orwells Rosen

Orwells Rosen

  • 出版社/メーカー: Rowohlt Verlag GmbH
  • 発売日: 2022/06/14
  • メディア: ハードカバー



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ブックフェア [読書記録・日記]

著者陣や対談に参加した『認知科学講座4 心をとらえるフレームワークの展開』と『圏論の地平線』出版に際して、立命館大学生協で認知科学ブックフェアを開催していただいている。

生協ブックフェアのページ

このページにはまだ『圏論の地平線』情報がなく(私が出版直前にポップを送ったので)、ポップを書く時間がなく載っていない推薦書もあるので、推薦図書全部とポップをここに載せてみる。ただし、肝心の上の二冊は、自分の原稿以外は知らない状態で紹介文を書いたので、結構曖昧...。生協の方とのやりとり用の文書からコピペしたので文献情報の形式はいい加減です。
全ての本は立命館の衣笠キャンパスの実店舗で販売中。なお、これ以外に越境する認知科学シリーズと認知科学のススメシリーズも全巻置いていただいています。

刊行される本の紹介文
『認知科学講座4 心をとらえるフレームワークの展開』
新しく東京大学出版会から刊行される認知科学講座シリーズの第4巻です。1巻『心と身体』、2巻『心と脳』、3巻『心と社会』をそれぞれテーマとしていますが、第4巻はそれらの分類に収まらない先端的な研究をまとめています。私(専門は認知科学)は数学者と共著で数学の一分野である「圏論」を用いた認知科学研究について書いています。それ以外にも、近年注目されている自由エネルギー原理や、本学の谷口先生による記号創発ロボティクスの章もあります。認知科学としてやや高度な内容も含まれる一冊ですが、新しい展開を味見するのに楽しい一冊です。1~3巻と合わせてぜひ手に取ってご覧ください。認知科学にはちょっと興味があるけれど、この本から読むのは難しそう…という方はおすすめしている他の本から先に読まれると良いと思います。

『圏論の地平線』
「しかし、もし対象を他の対象との「関係性」の総体において捉えるのが圏論の精神であるというのなら、他の諸分野との関係性を通じて圏論を「圏論的に」語ろうとする本があってもよいのではないか(「まえがき」より)」という冒険的なアイディアから生まれた対談本。計算機科学、認知科学、意識研究、複雑系、物理・工学、哲学、数学など多様な分野の研究者が圏論に詳しい数学者である西郷さんと対談しています。といっても、圏論のことばかり話しているのではなく、少なくとも認知科学分野の対談では好き勝手自分の研究や大学教育への文句などを話しており、研究者がカジュアルに話す様子や普段何を考えているのかを知ることができます(私は認知科学分野の対談に参加しています)。専門的な圏論の部分はわからなくても、きっと楽しむことができる一冊だと思います。なお、どの章からでも読むことができます。


認知科学および出版書籍に関連する布山からのおすすめ本
1. 鈴木宏昭(2022)『私たちはどう学んでいるのか—創発から見る認知の変化』筑摩書房
認知科学の知見から思考力、知識、上達、発達、ひらめき、教育について書かれた本です。本書は特に、揺らぎや動的な状況が学びに本質的である点に注目して書かれており、現在の教育のあり方についても批判的に論じています。著者の多くの面白い実験についても書かれており、読みやすく、また考えさせられる本です。各章の最初にまとめが書かれているので、良ければ手にとってその部分だけでも読んでみてください。教育に興味がある学生さんにぜひ読んでいただきたいです。

2. 鈴木宏昭(2020)『認知バイアス—心に潜むふしぎな働き』講談社
1と同じ著者によって書かれた認知バイアスの本です。認知バイアスとは、主に無意識に行う非論理的な思考のことを指し、限られた認知資源で実際の問題を解くためのヒューリスティックです。必ずしもバイアスが悪いわけではないのですが、非合理的な意思決定や社会的ステレオタイプ・偏見の助長など悪い点もあります。自分自身の持っている認知バイアスを自覚することで、より広い視野で物事を捉えるきっかけをつくれます。近年多くの会社でも認知バイアスに様々な観点から注目しているようです。

3. 今井むつみ(2010)『ことばと思考』岩波書店
日本語母語話者が多い日本では虹は7色で表現しますが、5色で表現する言語もあります。また、基本的な色の名前が2色しかない言語もあります。では、虹を5色で表現する言語の母語話者は虹が5色に見えるのでしょうか?基本的な色の名前が2色しかない言語の母語話者は世界が2色で見えているのでしょうか?これらは哲学・文化人類学の分野の問題でもありますが、認知科学の実験によって実証的に検証されてきました(ちなみに色の名前が多い言語の話者ほど、逆に色の認識が歪むことが知られています)。本書はこういったことばと思考の関係について、多くの興味深い実証的知見をもとに考える本です。言語や概念に興味のある学生さんにぜひ読んでいただきたいです。

4. メアリアン・ウルフ(2020)『デジタルで読む脳 x 紙の本で読む脳』インターシフト
私は文章理解を一つの研究テーマの軸にしています。近年SNSの発達で短い文章を素早くやりとりする機会が多くなったように思います。ではそういった素早い文章の理解とゆっくり紙の本で小説を読むのにはどういった違いがあるのでしょうか。現代社会においては早く理解することばかりが重要視されますが、実は集中して「ゆっくり」読むからこそできる理解もあるとされます。一方で、電子ならではの長所も併論されています。著者は認知神経科学・発達心理学の研究者で、多くの研究知見も盛り込まれていますが、とても読みやすい、親しみやすい一冊です。

5. 犬塚美輪(2020)『生きる力を身につける 14歳からの読解力教室』笠間書房
「読解力」は身につけるべき能力として近年も重視されています。では何ができたら「読解力」が身についたと言えるのでしょうか?文章を理解することは、文章を構成する文や単語それぞれを理解することとどう違うのでしょうか?漫画の理解と文章の理解は何が違うのでしょうか?本書は文章理解の基礎的な知見について対話形式で書かれた入門書です。難しいテーマなので諸説ある部分もありますが、文章理解研究の最初の一歩として読みやすいと思います。

6. 嶋田総太郎(2019)『脳のなかの自己と他者』共立出版
本書は「越境する認知科学」シリーズの最初の一冊です。「越境する認知科学」はファンカルチャーといった一見カジュアルなテーマから、創造性や人工知能など多くの注目テーマについて刊行されているシリーズです。本書は自己と他者について私たちがどのように認知するのか、神経科学の知見を主として、哲学の観点も入れながら論じています。私たちはどうして「この」腕が私の腕だと思うのでしょうか。なぜこの腕を動かしたのは私だと思うのでしょうか。なぜ他者は自分ではないのでしょうか。自分ではない他者にどうして共感できるのでしょうか。これらの当たり前だと思うことは実はまったく自明なことではありません。実際、脳の障害によって自分の腕が他者の腕だと感じたり、他者に動かされていると感じることもあります。本書はやや専門的で難しい部分もありますが、認知モデルの考え方も学べ、非常に面白く勉強になると思います。個人的にもとても好きな本です。

7. アントニオ・R・ダマシオ(2010)『デカルトの誤り』筑摩書房
感情とはなんでしょうか。感情と理性は対立するものでしょうか。感情と身体はどういった関係にあるのでしょうか。本書の原著は1994年に刊行されており、古い本ですが、感情と理性、身体の関係の研究が進むきっかけとなった一冊で、いまでも読む価値があると思います(なお本書の説に一部否定的な知見も出ています)。ダマシオは感情が合理的な判断、つまり理性の屋台骨の一つであり、かつ身体の状態が感情の一つの基盤である可能性を指摘します。感情や合理性に興味のある方はぜひ手にとってみてください。

8. 服部雅史・小島治幸・北神慎司(2015)『基礎から学ぶ認知心理学 人間の認識の不思議』有斐閣
認知科学は学際的かつ扱うテーマが広いため、一冊で全体像がわかる入門書はなかなかありません。本書は認知科学のテーマの中から主なものを中心に1章1テーマで10章にわたって、面白い具体例や読者が考える課題も盛り込みながら書かれています。それぞれのテーマについてより詳しく学びたい場合の推薦書も載っており、教科書としても使える一冊だと感じています。認知科学全体を一冊で見てみたい人におすすめです(ただし漏れているテーマもあるので、その場合は「認知科学講座」「越境する認知科学」「認知科学のススメ」シリーズから気になるテーマの本を読んでみてください)。

9. ルトガー・ブレグマン『Humankind 希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章』
人の本性は悪なのでしょうか。善なのでしょうか。もちろん状況次第なわけですが、これまで心理学の有名な実験はどちらかというと人間が“悪”に転びがちなことを報告してきました。たとえば、スタンフォードの監獄実験、ミルグラムの電気ショック実験など映画や有名な映像に残る実験が多くあります。本書はこういった性悪説に与する知見を再検討し、多くの欺瞞をあばき、むしろ「ほとんどの人は、本質的にかなり善良だ(p.21)」ということを主張します。皆さんは利己的で自分のことしか考えない生物が進化で生き残った「人間」だと思うでしょうか。あるいは「ほとんどの人は、本質的にかなり善良だ」と言う人はお気楽な人だと思うでしょうか。そう思われた方はぜひ読んでみてください。本書は、むしろ「本質的にかなり善良だ」ということを受け入れる勇気が世界を善くすると主張します。きっと新しい見方を得られると思います。

10. ドナルド・ホフマン(2020)『世界はありのままに見ることができない—なぜ進化は私たちを真実から遠ざけたのか』青土社
いま何が見えますか?三次元の世界が目前に広がっていて、棚に本やポップが見えるでしょうか。この本は、そういった“現実”がディスプレイ上のアイコンと同じ程度にしか“現実”でないことを主張します。あなたは目の前の本を取ることができ、コンビニで買ったお菓子を食べることもできます。しかし、それらはファイルのアイコンをディスプレイのゴミ箱アイコンに捨てたり、ダブルクリックして開くことと同じことだとホフマンは言います。そして、もしそうだとしても、あるいはそれだからこそ、私たちは生き延びてきたとします。そうだとしたら私たちは(あるとすれば)“ものそのもの”や“実在”を知ることができるでしょうか?本書は実証的な知見に基づきながらこういった世界や実在について議論します。マーケティングや美しさといった身近なテーマの知見もあり、面白い一冊です。

11. カルロ・ロヴェッリ(2021)『世界は関係でできている:美しくも過激な量子論』NHK出版
この一冊も“実在”のあり方について議論する一冊です。前半は量子物理について論じ、後半でより広いテーマを議論しています。量子物理では、物理的な対象、たとえば電子が、粒子でもあり波でもあり、かつ粒子でもなく波でもないといったような、私たちの直感的な実在のあり方とはかけ離れた特徴を持ちます。著者は、量子物理の示す意味を検討することで、あらゆる物理量(たとえ古典的な質量や速さであっても)はあるものと他のものとの関係で決まる(あるいは関係そのもの)と解釈します。このように“実在”が“関係”であると考え論を進めるのが本書です。量子物理の部分は、正確に理解するには量子論をある程度勉強しなくてはいけませんが、一般書として事前知識がなくてもある程度理解できるように読みやすく書かれています。実在のあり方に興味がある方はホフマン(2020)と共に読まれると新しい観点が得られると思います。

12. レベッカ・ソルニット(2019)『迷うことについて』左右社
哲学者メノンの「それがどんなものであるかまったく知らないものを、どうやって探究しようというのでしょうか」という問いに対して、迷うことや不確定性にとどまることを提示しオムニバス形式で進む本書。私の研究テーマの一つである不確定性を積極的に捉えるとても美しい本です(表紙も中表紙もとても綺麗なのでぜひ開いてください)。本書はいわゆる認知科学や数学分野の本ではありませんが、鈴木(2022)のゆらぎの価値やウルフ(2020)のゆっくり読むことの価値に通じる本だと感じています。

13. 西郷甲矢人・能見十三(2019)『圏論の道案内』技術評論社
『認知科学講座4 心をとらえるフレームワークの展開』で私たちが取りあげた「圏論」にもし興味を持たれたら、入門書としてはこの一冊が良いと思います。数学は難しいと思われるかもしれませんが(実際、私も難しいですが)、新しい見方を手に入れるのに数学ほど良い分野もないかもしれません。数学は計算すると思っていませんか?圏論のこの教科書ではいわゆる計算は全く出てきません。代わりに矢印ばかりが出てきます。すべてを矢印で表そうというのが圏論の思想(らしい)です(言い過ぎかもしれませんが)。ロヴェッリ『世界は関係でできている:美しくも過激な量子論』とも通じる部分があります。なぜかというと、矢印は関係性だからです。矢印だけでどこまで表現できるのか?さらさら読むのではなくゆっくり考えながら思考する本ですが、一緒に考えてみませんか。

ポップ未作成(一部リクエストするも品切れ)
1. ウンベルト・エーコ(2002)『開かれた作品』青土社 品切れ
2. W・イーザー(1982)『行為としての読書』岩波書店(新装版でも)
3. ヴァージニア・ウルフ(2015)『自分ひとりの部屋』平凡社
4. レベッカ・ソルニット(2020)『【定本】災害ユートピア』亜紀書房
5. 渡辺正峰(2017)『脳の意識 機械の意識』中央公論新社
6. クリストフ・コッホ(2014)『意識をめぐる冒険』岩波書店
7. 谷口忠大(2014)『記号創発ロボティクス 知能のメカニズム入門』講談社 品切れ
8. 安西祐一郎(2011)『心と脳―認知科学入門』岩波書店
9. 安西祐一郎(1985)『問題解決の心理学』中央公論新社
10. マイケル・ポランニー(2003)『暗黙知の次元』筑摩書房
11. C.M.ビショップ(2012)『パターン認識と機械学習 上』/『パターン認識と機械学習 下』丸善出版
12. 西郷甲矢人・田口茂(2019)『〈現実〉とは何か』筑摩書房
13. 橋本治(2018)『負けない力』朝日新聞出版
14. アルベルト・マングェル(1999)『読書の歴史 あるいは読者の歴史』柏書房
15. ロジェ・シャルティエ&グリエルモ・カヴァッロ(2000)『読むことの歴史 ヨーロッパ読書史』大修館書店 品切れ
16. 永嶺重敏(2004)『〈読書国民〉の誕生』日本エディタースクール出版部 品切れ
17. 谷口忠大(2020)『イラストで学ぶ人工知能概論』講談社
18. 高橋英之(2022)『人に優しいロボットのデザイン』福村出版
19. メアリアン・ウルフ(2008)『プルーストとイカ』インターシフト
20. チャールズ・ファーニハフ(2022)『おしゃべりな脳の研究』みすず書房
21. 川上弘美(2009)『真鶴』文藝春秋
22. 小川洋子(2011)『猫を抱いて象と泳ぐ』文藝春秋
23. テッド・チャン(2003)『あなたの人生の物語』早川書房
24. 向後千春・富永敦子(2007)『統計学がわかる』技術評論社
25. 向後千春・富永敦子(2009)『統計学がわかる 回帰分析・因子分析編』技術評論社
26. ジャック・ランシエンール(2019)『無知な教師〈新装版〉:知性の解放について』法政大学出版局 品切れ






認知科学講座4 心をとらえるフレームワークの展開

認知科学講座4 心をとらえるフレームワークの展開

  • 出版社/メーカー: 東京大学出版会
  • 発売日: 2022/09/20
  • メディア: 単行本




圏論の地平線

圏論の地平線

  • 作者: 西郷 甲矢人
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2022/11/16
  • メディア: Kindle版





私たちはどう学んでいるのか ――創発から見る認知の変化 (ちくまプリマー新書)

私たちはどう学んでいるのか ――創発から見る認知の変化 (ちくまプリマー新書)

  • 作者: 鈴木宏昭
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2022/06/17
  • メディア: Kindle版




認知バイアス 心に潜むふしぎな働き (ブルーバックス)

認知バイアス 心に潜むふしぎな働き (ブルーバックス)

  • 作者: 鈴木 宏昭
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/10/22
  • メディア: 新書





ことばと思考 (岩波新書)

ことばと思考 (岩波新書)

  • 作者: 今井 むつみ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/10/21
  • メディア: 新書




デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 :「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる

デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 :「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる

  • 出版社/メーカー: インターシフト (合同出版)
  • 発売日: 2020/02/06
  • メディア: 単行本




14歳からの読解力教室: 生きる力を身につける

14歳からの読解力教室: 生きる力を身につける

  • 作者: 美輪, 犬塚
  • 出版社/メーカー: 笠間書院
  • 発売日: 2020/03/31
  • メディア: 単行本




脳のなかの自己と他者: 身体性・社会性の認知脳科学と哲学 (越境する認知科学)

脳のなかの自己と他者: 身体性・社会性の認知脳科学と哲学 (越境する認知科学)

  • 出版社/メーカー: 共立出版
  • 発売日: 2019/09/07
  • メディア: 単行本




デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳 (ちくま学芸文庫)

デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳 (ちくま学芸文庫)

  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2010/07/07
  • メディア: 文庫





基礎から学ぶ認知心理学 -- 人間の認識の不思議 (有斐閣ストゥディア)

基礎から学ぶ認知心理学 -- 人間の認識の不思議 (有斐閣ストゥディア)

  • 出版社/メーカー: 有斐閣
  • 発売日: 2015/09/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




Humankind 希望の歴史 上 人類が善き未来をつくるための18章 (文春e-book)

Humankind 希望の歴史 上 人類が善き未来をつくるための18章 (文春e-book)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2021/07/27
  • メディア: Kindle版





世界はありのままに見ることができない なぜ進化は私たちを真実から遠ざけたのか

世界はありのままに見ることができない なぜ進化は私たちを真実から遠ざけたのか

  • 出版社/メーカー: 青土社
  • 発売日: 2020/09/24
  • メディア: Kindle版




世界は「関係」でできている: 美しくも過激な量子論

世界は「関係」でできている: 美しくも過激な量子論

  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2021/10/29
  • メディア: 単行本




迷うことについて

迷うことについて

  • 出版社/メーカー: 左右社
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: 単行本




圏論の道案内 ~矢印でえがく数学の世界~ 数学への招待

圏論の道案内 ~矢印でえがく数学の世界~ 数学への招待

  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2019/08/09
  • メディア: Kindle版



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『圏論の地平線』 [読書記録・日記]

共同研究者の西郷甲矢人さんが各分野の人と対談した『圏論の地平線』が技術評論社から11/19に出版されます。(カバー画像をもらいました)

私も認知科学枠で少し話しています。研究の履歴や圏論との出会いを全員が話していて(はず)、私は大学のとき「関係性なんていらないって言ったら西郷君に間違ってるって言われた」というような話をしています。
それから幾星霜、先日の『認知科学講座4』では「どのような認知も様々な他の認知との関係性を持つ」と書き出しています。
大学の頃は、誰もいない空間で浮かんでいるイメージがあって、それが好きだったので、関係性なんていらないと言ったのですが、うーんでも、そのイメージは「それがいい」とは言い切れなくなる程度に成長したものの、まだある感じがしています。

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圏論の地平線

圏論の地平線

  • 作者: 西郷 甲矢人
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2022/11/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




認知科学講座4 心をとらえるフレームワークの展開

認知科学講座4 心をとらえるフレームワークの展開

  • 出版社/メーカー: 東京大学出版会
  • 発売日: 2022/09/20
  • メディア: 単行本



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いろいろ [読書記録・日記]

先週木曜日から土曜日まで認知科学会があり、オーガナイズドセッションx2で話したのと、総会の議長を担当しました。オーガナイズドセッションの(自分の)話は、自分にとって新しい部分はほんの少ししかなかったので、やはりもっと研究をしたいと思う。初年度はしょうがない部分はあるけれど。
学会は楽しかったけれど、対面で会えたらもっとよかったな。

認知科学講座の4巻が著者用の献本として一冊大学に届いていて嬉しい。他の章を読むのが楽しみ。他の巻も買った。ただ、よく意外に思われるのだけれど、私は読むのが遅い。斜め読みできないし。いつ読み終えるかな。他にも積読本ばかりが増えてしまう。
(ちなみにamazonのリンクを見ると10月発売になっているけど、9/16発売)

西郷君がいろいろな人と対談し、認知科学枠で私も話した『圏論の地平線』も11月の下旬に発売が決まったみたい。よかった。すごく厚い本になったっぽい。こちらも楽しみ。


認知科学講座4 心をとらえるフレームワークの展開

認知科学講座4 心をとらえるフレームワークの展開

  • 出版社/メーカー: 東京大学出版会
  • 発売日: 2022/10/11
  • メディア: 単行本





圏論の地平線

圏論の地平線

  • 作者: 西郷 甲矢人
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2022/11/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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小島 寛之『確率的発想法』 [読書記録・日記]

先日、人に教えてもらって小島 寛之『確率的発想法』を読みました。
思に経済学の観点から確率的な思考について書かれていて、私はあまりもったことのない思考で新鮮でした。冒頭天気予報の話を椎名林檎の『闇に降る雨』を引用して始めるのもすごくクール。ただし、やっぱり、不確実性はどっちかっていうとネガティブな感じで捉えられているのかも。


確率的発想法~数学を日常に活かす

確率的発想法~数学を日常に活かす

  • 作者: 小島 寛之
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2004/02/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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東大出版『認知科学講座4 心をとらえるフレームワークの展開』

9月16日に東大出版から『認知科学講座4 心をとらえるフレームワークの展開』が出版されます。
5章を長浜バイオ大学の西郷甲矢人教授と共著で書いています。他の章はとても豪華。他の巻も楽しみです。
出版されたらもう少し詳細を書くかも。


認知科学講座4 心をとらえるフレームワークの展開

認知科学講座4 心をとらえるフレームワークの展開

  • 出版社/メーカー: 東京大学出版会
  • 発売日: 2022/10/11
  • メディア: 単行本



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西村宏堂『正々堂々』

西村宏堂さんの『正々堂々』を他の雑誌で写真を見て素敵だなと思って買いました。あまり自己啓発系の本は読まないのだけど、これは面白かった(自己啓発の本というより、仏教の本でした)。
「10年後にタイムスリップして自分の成功を祝うというシナリオでご褒美ディナーを楽しむ」っていうのがあって、ご褒美になるお店に友達とディナーに行き10皿をシェアで注文、一皿味わうごとにそれぞれ一つ夢が叶った設定で叶った喜びを言っていく。「Vogueに私のインタビューが載ったの!」「周りの反応はどうだった?」「おめでとうのメッセージがたくさん届いたよ」と言う感じでなりきって話すらしい。楽しそう。ぜひやってみたい。


正々堂々 私が好きな私で生きていいんだ

正々堂々 私が好きな私で生きていいんだ

  • 作者: 西村宏堂
  • 出版社/メーカー: サンマーク出版
  • 発売日: 2020/07/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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鈴木宏明『私たちはどう学んでいるのか−創発から見る認知の変化』

鈴木先生の新しい本『私たちはどう学んでいるのか』を読んだ。
揺らぎとか多様性が学習や発達に本質的な点や、知識をモノではなくてコトとして捉えることなどがまとめられていて、すごく面白かった。個人的には、いまは量子認知の流れで不定性とか多義性とか決めないこととかに興味があり、それもあって。
前期の合同ゼミで魂の話があったのだけれど、それで思ったのは、神秘主義(?)でも人は「XXがある」と言いたいのだなということ。「アストラル体がある」とか。物理的なものを否定しているようで、実在論的。どうして人は「XXがある」って言いたくなるんだろう?そういうのを想定した方が適応的だったのだろうか(ホフマンのITP理論みたいに)。しかし人はアンヴィヴァレントなものとか比喩とかそういうのも好きだし。適度に発散するのに、実在を仮定するくらいがちょうど良いのかもしれない。

あと、そう、最初に「能力」がアブダクティブに仮定された概念で、「力」からのメタファーで安定的・内在的だと見做されるという議論があってそれもそうだなあ(私もつい固定的に考えがち)と思った。そもそも「力」ももともと関係的な概念のはず。運動量とかポテンシャルエネルギーとか、相対的なものでは。
それで全ての物理量が相対的だと思えば量子も自然だという話をしてたのがカルロ・ロヴェッリの『世界は「関係」でできている』だった。後半は結構粗いけど。

うーん、あとは、揺らいでもその時々に一つの決まった値を取っていると思うか否かが量子か古典かの違いの一つな気がする(認知で)。確率が測度論から代数論に変わることで本質的にどう変わっているのかのイメージがまだ私は弱くて、それがもっとわかったらもっと理解が深まると思う。


私たちはどう学んでいるのか ――創発から見る認知の変化 (ちくまプリマー新書)

私たちはどう学んでいるのか ――創発から見る認知の変化 (ちくまプリマー新書)

  • 作者: 鈴木宏昭
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2022/06/17
  • メディア: Kindle版





世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論

世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論

  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2021/10/29
  • メディア: Kindle版



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追伸 カルロ・ロヴェッリ『世界は「関係」でできている』 [読書記録・日記]

昨日のカルロ・ロヴェッリ『世界は「関係」でできている』、意識の部分で進化論と相対情報(相関)の話があり、進化論の部分

「(前略)それらの構造の機能は、それらの構造の目的ではない。話はまったくその逆で、それらの構造が存在するからこそ、生命体が生き延びられる。生きるために愛するのではなく、愛するから生きているのだ。」(p.169)

というところ、目的論的よりも進化論的な(適応的な)見方の方がロマンチックで面白かった。
講義でも目的論を否定していくと、だんだん学生が夢を失っていく感じがするときがあるのだけど、話はほんとはそうでもないと思う。
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カルロ・ロヴェッリ『世界は「関係」でできている』 [読書記録・日記]


世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論

カルロ・ロヴェッリの『世界は「関係」でできている」を読みました。
最近は講義資料作成のために、前に読んだ本を読み直すことが多く、新しい本は久しぶりかも?
量子物理の夜明けの話から、その解釈のいくつかの説の紹介をし、そのあとで著者の解釈を述べる。さらに、実在論を論じるのにボグダーノフとレーニンの議論や歴史に行き、そのあと意識や認知の話になる。
個人的にはやはり物理の部分が一番面白く、歴史の部分も興味深いけど、意識のあたりについては爪が甘い気もした。このあたりはドナルド・ホフマンの『世界はありのままに見ることができない』の方が過激で好き。

「思うに、わたしたちは量子論を通して、あらゆる存在の性質、すなわち属性が、じつはその存在の別の何かへの影響の及ぼし方にほかならない、ということを発見した。」(p.86)



世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論

世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論

  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2021/10/29
  • メディア: Kindle版




世界はありのままに見ることができない なぜ進化は私たちを真実から遠ざけたのか

世界はありのままに見ることができない なぜ進化は私たちを真実から遠ざけたのか

  • 出版社/メーカー: 青土社
  • 発売日: 2020/09/24
  • メディア: Kindle版



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