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JAISTサマースクール『計算論的認知科学入門』が終了しました [読書記録・日記]

以前に告知したJAISTサマースクール2018『計算論的認知科学入門--心の哲学、実験から機械学習まで』は参加者の皆さまやゲスト講師の高橋康介先生、学生さんのお手伝いで無事終了することができました。ありがとうございます。
三日間、かなり詰め込んだ内容だったので、なかなか一回では全て理解するのはハードだったかもしれないのですが、参加者の皆さまが積極的に参加してくださり、個人的には良いサマースクールになったように感じました。

私が担当した実験関連部分では
Murata, T., Matsui, N., Miyauchi, S., Kakita, Y., & Yanagida, T. (2003). Discrete stochastic process underlying perceptual rivalry. Neuroreport, 14(10), 1347-1352.
の論文を元に実験から分析まで行いました。多義図形(ネッカーキューブとかルビンの壺など)の見えの持続時間の分布がガンマ分布になり、ガンマ分布の1つのパラメータshape(指数分布の数に相当)が整数値になることから、いくつかの離散的な状態間を遷移して初めて見えが変化する形式の認知処理が示唆される、という主張です。本サマースクール では、実験でのデータ取得(簡易版)から混合ガンマ分布の推定まで行いました。単なる時間から認知処理の特徴づけがなされるという面白さが少しでも伝われば嬉しいです(全体構成がずれたこともあり、時間と説明不足となり申し訳なかったです)。

ちなみにこの実験を選んだのは、前に書いた『脳の意識 機械の意識』において、両眼視野闘争の実験でその時間分布が特徴的な分布になる、という記述を読んで興味を持ったからでした。多義図形の見えも、刺激自体は変わらないのに、意識にのぼる“見え”が変化する。主観的には変化の仕方に規則はないように感じているかもしれないが、実はその変化の時間は分布に従っていて、背後である形式の認知処理がなされているというのが面白いと思って選びました。この面白さも伝わっていたら嬉しいです。

今回は講師を担当させていただきとても勉強になりました。また機会をもらえれば、反省点を活かし、がんばりたいと思います。
(すぐは辛い...)
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