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四日目 森博嗣『六人の超音波科学者』 [読書記録・日記]

ちょっと重いのが続いたので、四日目は比較的最近の森博嗣『六人の超音波科学者』。

----(引用)----
「大切だからって、いったい何なのでしょうか?大切なものって、何が大切なのですか?大切に思うことが大切なのかしら?それとも、大切だと教えることが大切なの?私の申し上げていることがわかりますか?」
---(ノベルス、p.249)---

----(引用(以下一箇所少しネタバレ部分があるので注意))----
「何故ならば、理由なんてもの自体が、単なる記号だからです。たとえば、あのエレベータが、何人か乗らないと動かない仕掛けだった場合、たまたま、手前の部屋で倒れていた小鳥遊君をウエイトに使うために引きずっていったのかもしれません。それは、目的を果たすための立派な理由です。しかし、人を殺す理由にはならない、どんな理由も、許可を得るためのキーにはなっても、許可が得られると保証された資格ではないのです」
(中略)
「それが許されることと、それができることの差です。気づかれたら困る、自分が誰だか見破られたら困る......、だから黙らせる、だから首を絞める、だから殺してしまう。だから、だから、だから、という理由で人はどんどん堕ちていく。人でなくなっていくのです。思い出しなさい。考えましたか?殺したら、もとに戻らないのよ!」
----(同書、pp.250-251)----

森博嗣は昔はSMシリーズが好きで、そのあとのVシリーズ(紅子の)は最初はあまり好きではなかったけれど、長じてだんだん好みが代わり、いまはVも好き。スカイ・クロラもとても好き。
教育的な何かをしないといけないとき、このあたりのフレーズを思い出すことがある。大切だからって何なのか、とか理由というものの価値とか。

ところで、初日に紹介したリルケの『若き詩人への手紙』を読み直していたのだけれど、記憶のなかではそんな重い話ではなかったはずが、結構これ辛い...ということに気づきました。若き詩人が書いた方の手紙は載っていないのだけれど、おそらく若き詩人が挫折しかけるなか、リルケの純粋な回答がなかなか辛い。

あと、『細雪』の長い文をためしにCabochaで構文解析してみました(NLP100のを参考に)。
sasame.dot.png
小さくて見えないと思うので見たい方はクリックして拡大してください(なんかちょっと結果が間違ってる気がする...解析できてないのかも)。
おそらく句点がないところでも人間は適当に分節化して理解しているけれど、これを一文で書いて理解させうるのはすごいな。たけくらべとかもっと長かった気がするし、もともと音読を前提にした文章だと長いと思うけれど。
ちなみに私は暗記系が嫌い・苦手だったので文法関連は全然勉強せず、テストではいつも勘で回答していました。古文も漢文も勘で。もうちょっと勉強しておけばよかったかなあとときどき全般的に思います。


六人の超音波科学者 Six Supersonic Scientists Vシリーズ (講談社文庫)

六人の超音波科学者 Six Supersonic Scientists Vシリーズ (講談社文庫)

  • 作者: 森博嗣
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/09/28
  • メディア: Kindle版



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