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王朝百首から [読書記録・日記]

塚本邦雄の『王朝百首』は前から好きでたまに開くのだけれど、最近また気分転換に見てみた。
塚本が選んだ和歌に、彼が散文詩をつけている。散文詩もそれだけで素晴らしい。

もう春は終わってしまうけれど、春で好きなのの一つは小侍従の歌。これについた塚本の散文詩もまた本当に好き。この空気感が、春の朧なところ、白くでも澄んでいて、うっとりするような、生と死が混ざっているような。(p.48)

「春といえばなべてかすみやわたるらむ雲なき空の朧月夜は」
小侍従

「見えない みなとほくに霞む
私も月も野も水も
ほの白い夜のかげ
かすかにただよふ魂の匂い」

あまり後ろの方まで読んでいなかったのだけれど、偶然開いたら戀の歌だった。朧とおぼつかないは近くて遠い。(p.81)

「あい見てもちぢに碎くるたましひのおぼつかなさを思ひおこせよ」
藤原元眞

「愛とはなに
きずつくために逢い
癒えるために別れる
戀とはなに
別れてのちは二人の
たましひのかけらを
掌に轉がす
轉がるのは私達の愛
取り返しのつかぬ戀
一瞬の靑春」
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