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三十六日目 橋本治『負けない力』 [読書記録・日記]

三十六日目は橋本治『負けない力』。今日はもうものすごく眠くてだめなので、読み返したかった本を少し。

----(引用)----
「頭はいいけど知性がない人」と言われて、どんな人を思い浮かべますか?私は「品がなくてがさつな人」を思い浮かべて、「勉強は出来ても知性がない人」と言われると、「つまりはバカなんじゃないの?」と思ってしまいます。
----(p.17、大和書房)----

----(引用)----
「根拠」を求めて「他人の言葉」を探し出して来ても、「これは自分にとってどういう意味を持つものなんだろう?」と考えなければ、自分の役には立ちません。「他人のものは他人のもの」で、それを「自分のもの」にするためには、「自分のものに変える」という行為が必要で、「根拠」は自分で作るものなのです。
 でも、自分の外に「根拠」を求める人は、そんなことをしません。それは、「せっかく見つけ出した“自分の外にある根拠”を、自分で勝手に変えてしまう」ということになるからです。
 その代わり、自分の外に「根拠」を求める人は、(中略)「えらい人が言ったことだから“根拠”はある」と思って、そのままです。(中略)「えらい人が言ってることだから信じられる」と思って、自分で都合のいいように解釈をしてしまいます。「せっかく見つけた根拠を勝手に変えてはいけない」と思っているくせに。
----(pp.135-136)----

----(引用)----
 他人に知性があるのかないのかが分かる------「つまり、「知性のある他人」を見て「あの人は知性がある」と分かる、なんていうのは当たり前と思われるかもしれませんが、そうそう当たり前のことではありません。
 (中略)「自分が一番えらい、自分こそ物事が分かっている」と思うから、他人の言うことが聞き入れられない------つまり、「自分以外の他人の中に存在する知性」が認められないんですね。
「他人の知性が理解できない」というのは、その当人の中に知性がないということです。
----(pp.191--192)----

----(引用)----
 本当のところは分かりませんが、ある程度の自信がなかったら、「私はそんなに頭がよくありません」なんてことは言えません。それはつまり、「私の言うことをそのまま受け取っていると、ひどい目に遭うかもしれませんよ」と言っているのと同じなのです。
----(p.211)----

----(引用)----
 あなたの中に知性があるということは、問題は簡単に解決出来ないし、「負けた」と思うことはいくらでもあるだろうけれど、でも「自分」が信じられるから負けないということです。
 「自分」を捨てたら知性はありません。知性とは「自分の尊厳を知ることによって生まれる力」で、だからこそそう簡単にはなくならず、だからこそ「短期決戦」にはあまり強くないのです。
----(p.247)----

この本は、橋本治の本にしては(私が読んだ中では)相当にわかりやすい。最後も結構感動的だったはず。面白いしね。ふふ、と思ってしまう。「わからない」という方法とも部分的に近かったと思う。


負けない力 (朝日文庫)

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  • 作者: 橋本 治
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2018/06/07
  • メディア: 文庫




「わからない」という方法 (集英社新書)

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  • 作者: 橋本 治
  • 出版社/メーカー: 集英社
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  • メディア: 新書



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