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鈴木宏明『私たちはどう学んでいるのか−創発から見る認知の変化』

鈴木先生の新しい本『私たちはどう学んでいるのか』を読んだ。
揺らぎとか多様性が学習や発達に本質的な点や、知識をモノではなくてコトとして捉えることなどがまとめられていて、すごく面白かった。個人的には、いまは量子認知の流れで不定性とか多義性とか決めないこととかに興味があり、それもあって。
前期の合同ゼミで魂の話があったのだけれど、それで思ったのは、神秘主義(?)でも人は「XXがある」と言いたいのだなということ。「アストラル体がある」とか。物理的なものを否定しているようで、実在論的。どうして人は「XXがある」って言いたくなるんだろう?そういうのを想定した方が適応的だったのだろうか(ホフマンのITP理論みたいに)。しかし人はアンヴィヴァレントなものとか比喩とかそういうのも好きだし。適度に発散するのに、実在を仮定するくらいがちょうど良いのかもしれない。

あと、そう、最初に「能力」がアブダクティブに仮定された概念で、「力」からのメタファーで安定的・内在的だと見做されるという議論があってそれもそうだなあ(私もつい固定的に考えがち)と思った。そもそも「力」ももともと関係的な概念のはず。運動量とかポテンシャルエネルギーとか、相対的なものでは。
それで全ての物理量が相対的だと思えば量子も自然だという話をしてたのがカルロ・ロヴェッリの『世界は「関係」でできている』だった。後半は結構粗いけど。

うーん、あとは、揺らいでもその時々に一つの決まった値を取っていると思うか否かが量子か古典かの違いの一つな気がする(認知で)。確率が測度論から代数論に変わることで本質的にどう変わっているのかのイメージがまだ私は弱くて、それがもっとわかったらもっと理解が深まると思う。


私たちはどう学んでいるのか ――創発から見る認知の変化 (ちくまプリマー新書)

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  • 作者: 鈴木宏昭
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2022/06/17
  • メディア: Kindle版





世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論

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  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2021/10/29
  • メディア: Kindle版



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