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三日目 埴谷 雄高『闇のなかの黒い馬』 [読書記録・日記]

三日目は埴谷雄高の『闇のなかの黒い馬』。

----(引用)----
灰色の壁のなかにかこまれた部屋のなかで黙想していた頃、真夜中過ぎ、冬の闇の遠い虚空から駆けおりてくる一匹の黒馬が音もなく私が目覚めている区劃へはいつてくる幻想が、屢々、私に浮んだ。
-----(p.13、河出書房新社、1972年)----

実は告白すると、この本はつい先日その表紙に一目惚れして(下のリンクに見えるはず)ハードカバーで購入したばかりでまだ一章しか読んでいない。そして上の文章が真にいいのかどうか、正直まだよくわからない。
でも、箱入りのハードカバーの本を箱から取り出し、印刷もところどころ掠れる少し黄色目の紙の1972年の本、見返しが黒く少し怖い手の絵を横目に夜に読むと、自分自身が闇のなかで眠れず考え事をしているような、不思議な気分になってくる。表紙は、人の目の中に、馬の蹄鉄が描かれているのかなと思うけれど(タイトルから)、オメガのように見えて怪しくていい。そして、全く知らなかったのだが、三章目のタイトルが『自在圏』...圏論にありそう自在圏...。
埴谷雄高は、『死霊』しか知らず、そして『死霊』は挫折したのだが、それに比べてはるかに読みやすい。『死霊』は、大学の時に友人にすすめられ、真面目だったので頑張って読もうとするも全くわからず、そして未完だということを知って絶望を感じて諦め、十年ぶりにあったすすめた本人に謝ったところ友人本人も読んでいなかったというエピソードがある。いつか死霊も読めるようになるのだろうか。


闇のなかの黒い馬 (1971年)

闇のなかの黒い馬 (1971年)

  • 作者: 埴谷 雄高
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2020/04/17
  • メディア: -



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