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六日目 呉茂一訳『ギリシア・ローマ抒情詩選』

六日目は呉茂一訳『ギリシア・ローマ抒情詩選』。

----(引用)----
ちよつぴり啖ひ、ちよつぴり飲み、
 さて大いに病気をしたあげく、
やつとこさと、だがとうとう私も死んじまつた。
 みなも一緒にくたばるがいい。
----(読人知らず、pp.50-51)----

これは「ぎりしあ詞華集抄」章の「哀歌および碑銘」の節から。
ポーに引き続き詩ですが、この本は最近古本屋で衝動買いしました。
この詩がいつ作られたか私には正確にわからないけれど、前七世紀から後十世紀の間のはずなので、ということは少なくとも一千年以上は伝えられたことになる。この詩、韻が綺麗なのかもしれないが(原文はもちろんわからない)、食べて飲んで「みなも一緒にくたばるがいい」が一千年以上伝えられてしまうところがすごい。

この本は時々開いていくつかの詩を読んで、ということをしているので、まだ少ししか読んでいない。この節にはひたすら墓碑銘のような詩が出てくる。

次は「恋愛詩」の節から。

----(引用)----
たのしさは、夏、のど渇く人らに
    雪の飲みもの。たのしみは
 冬のあらしを脱け出た舟子に
    春の 微風のありさま。
たのしさは、なほさらに、一つの被衣が
    愛するひとらを
つつむとき、そいで二人が、キュプリスを
    たたへあふとき。
----(アスクレーピアデース、p.78)----

この本は、最初の章に「ぷらえるうでぃうむ・エジプト詩集」も含まれていて、その冒頭も格好いいけれど、今日はここまで。



ギリシア・ローマ抒情詩選―花冠 (岩波文庫)

ギリシア・ローマ抒情詩選―花冠 (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1991/11/18
  • メディア: 文庫



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