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二十六日目 J.D.サリンジャー『ナイン・ストーリーズ』 [読書記録・日記]

二十六日目はJ.D.サリンジャー『ナイン・ストーリーズ』から「バナナフィッシュにうってつけの日」。

----(引用)----
「放してはだめ」命令するようにシビルは言った「さあ、あたしを押さえてるのよ」
「カーペンターのお嬢ちゃん。万事まかせて安心してらっしゃい」青年はそう言った「きみはただ目を開けて、バナナフィッシュを見張ってれば、それでよろし。今日はバナナフィッシュにうってつけの日だから」
「一匹も見えない」と、シビル。
「それは無理もないな。彼らの習性はとっても変わってるんだ」彼はなおも浮袋を押して行った。水はまだ彼の胸まで届いていない。「彼らはね、実に悲劇的な生活を送るんだ」と、彼は言った「どんなことをやるか知ってる、シビル?」
----(p.29、新潮文庫)----

サリンジャーは『ライ麦畑でつかまえて』とこの『ナイン・ストーリーズ』しか読んだことがない。『ナイン・ストーリーズ』は自作短編集。
その中の最初の短編「バナナフィッシュにうってつけの日」は一度読むと、この海のシーンが忘れられなくなる。たった23ページの短編なのに、伏線がたくさんあって、読んでいくとはっとする。このシーモア(青年)の一家が出てくる小説が他にもあるようなので、それも読んでみたいな。そして、文章が格好いい。もちろん、翻訳なんだけれど。英語版も買ってみようかな。
今日は最初、夢野久作にしようかと思ったのだけど、明日から公開される初回講義の自己紹介でこのページを紹介してしまったので、万が一学生が見に来て最初の記事が夢野久作の狂った文章(しかもその前日は春琴抄)だと、さすがにちょっとよくないのでは...と思い、今日が暑かったので海の作品にしてみました。



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