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二十七日目 よしもとばなな『なんくるない』 [読書記録・日記]

二十七日目はよしもとばなな『なんくるない』。

----(引用)----
「あなたって、女の人はみ〜んな、絶対に自分を許すってわかってるんでしょう!」
と言ってやりたくなるような感じだった。自分がいい子であることに、何の疑いもなくまっすぐに近づいてきた。
 お姉さんはたまにやってきては、あら、しょうがないやつめ、迷惑だったら突き飛ばしてくださいな、と言いつつ、とても忙しそうだったので、何もしてくれなかった。そして、お詫びになのかなんなのか、おいしいおかずをちょっとずつ置いていってくれた。ワインもいつしかフルボトルが目の前に置かれていた。それをその男の子とふたりでしみじみ飲むことになった。
----(pp.150-151、「なんくるない」より、新潮文庫)

十九日目に紹介した吉本ばななのバリ島の話(『マリカのソファ/バリ夢日記』)がよかったので、今度は沖縄を舞台にしたよしもとばななの本を買ってみた。

今日はもともと別の本を紹介したかったのだけれど、その本が出てこない。うーん、大きな本棚がほしい。本棚をおける空間がほしい...。

『なんくるない』は表題作を含む四話が含まれた書籍。どの話も、観光客として沖縄を訪れる人が主人公。沖縄の魅力を描きつつ、神秘化しすぎないように注釈をつけながら話が進む。それでも、明るくて美味しそうで、ああ行きたいなと思う。自粛が解けたら、バリか沖縄、どちらから行こう。現実的にはどっちかだけだから、考えなくては。
吉本ばななは、さらっと読めるけれど、個人的には、すごくすき!というのとも違う。ただ『なんくるない』は、読んだタイミングがとてもよかったのか、とってもよかった。あと、この表紙の、ウィスット・ポンニミットさんの絵が前から結構好き。

----(引用)----
「あんまり深刻に考えちゃだめよ、あったかいとこに夏休み遊びに来てるくらいに思ってね。深刻さは伝染するからね。深刻になっていいことなんて一個もないよ。」
 おばさんは言って、私の前にこしかけて自分もマンゴージュースを飲んだ。
「甘くておいしいよ!」
 私もジュースを飲んだ。冷たくて甘くて、なんだか「いいこと」がいっぱいつまっているような、生き生きとした味がした。
----(p.45、「ちんぬくじゅうしい」より)----

南国のフルーツって、暑いところで食べるとほんとに美味しい。関東でも、何か季節のちゃんと美味しいものが食べたいな。



なんくるない (新潮文庫)

なんくるない (新潮文庫)

  • 作者: よしもと ばなな
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/05/29
  • メディア: 文庫



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