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三十一日目 アントニオ・タブッキ『インド夜想曲』 [読書記録・日記]

三十一日目はアントニオ・タブッキ『インド夜想曲』。

----(引用)----
彼女はわざとらしく驚いて見せて、僕を見つめた。「わたくしは持物をお部屋にわすれただけですの」落着いて彼女はそう言った。「それをとりに来ただけ」
「いずれ来るだろうとは思ってました」僕は言った。「でも、打ち明けた話、こんなに早く、いやこんなにおそくに来るとは思ってませんでした」
 女はますます驚いたように、僕を見つめたまま、呟いた。「どういう意味でしょう」
「あなたは泥棒でしょう」僕は言った。
----(p.61、白水社)----

----(引用)----
「もちろんあげるよ」僕は言った。「でも、僕が現在だれなのか、せめてそれだけは訊いておくれ」
 少年はもう一度、寛容にほほえんで、言った。「だって、それはあなたのマーヤーでしかないのに、知ってどうなるんですか」
----(p.95)

『インド夜想曲』は昨年か一昨年に人が褒めているのをみて買ってみたけれど、読んだときはそれほどと思わなかった。でもなんとなく、もっと歳をとったら、好きになるのかもしれない。ちなみに、インドはそんなに行きたいと思ったことはない。大きすぎる国はちょっと怖いのかも。


インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 1993/10/01
  • メディア: 新書



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